政局のはなし

政局や政治家のスキャンダルなど

細野豪志氏「5000万円は党のために借りた」→争点は「選挙のために借りた」かどうか

細野豪志衆議院議員(無所属・7期・静岡5区)が2017年10月の総選挙中に5000万円を受け取ったことについて、細野氏のコメントが発表された。

細野元環境相「希望の党の運用に備え準備」|日テレNEWS24

いわく、「設立したばかりの希望の党の運営のため」とのこと。2014年に発覚した渡辺喜美衆議院議員のDHCからの借り入れとほとんど同じ(みんなの党の運営のため借りた)理由を述べている。

以上のような「企業から、細野個人が借りて、政党に貸し出す」という場合は、政治資金規正法公職選挙法がらみのルールからすると、後半部分の細野個人と政党の取引のみを公開すればOKだ。企業と細野個人の取引は特に公開のルールがなく、唯一あるのが投開票日時点での政治家の個人資産を公開するものだが、これには罰則規定は存在しない「ザル法」になっている。なので、細野氏の言い分通りであれば不起訴になるだろう。(記載漏れはあったが罰則がないから)

起訴されて有罪になるケースとしては、受け取った金を「自身の選挙に使っていた(公選法違反)」、「仲間に金を配っていた(公選法違反)」場合だ。すでに利息をつけて返済しているとのことで、詐欺などにも該当しないだろう。

もっとも重要なポイントは(不起訴になった渡辺喜美氏のケースと違う点として)細野氏は「選挙期間に借りている」という点だ。もし5000万円が選挙資金として借りたと立証される場合、選挙収支報告書への記載漏れになり公選法違反だ。この場合は公民権停止までありうる。つまり今後の争点は5000万円は「選挙のために借りた」かどうかになる。証券会社サイドからの証言やメールなどの証拠もでてくるかもしれない。

日歯連迂回献金地裁判決→有罪

日歯連迂回献金の地裁判決がでた。

日歯連前会長らに有罪=迂回献金、規正法違反-東京地裁:時事ドットコム

 政治団体日本歯科医師連盟」(日歯連)の迂回(うかい献金事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載、量的制限)罪に問われた前会長高木幹正被告(73)ら元幹部2人と、法人としての日歯連の判決が27日、東京地裁であった。

 前田巌裁判長は、高木被告を禁錮1年6月、執行猶予3年(求刑禁錮2年)とするなど、全被告に有罪を言い渡した。

 判決は、元会長堤直文被告(76)が禁錮1年6月、執行猶予3年(求刑禁錮1年6月)、日歯連は求刑通り罰金50万円。被告側はいずれも無罪を主張していた。

 起訴状によると、高木被告らは元副理事長村田憙信被告(73)=一審有罪、控訴=と共謀し、2013年の参院選前に民主党(当時)元議員の政治団体を経由させるなどして、自民党議員の後援会に法定上限を超える9500万円を寄付するなどしたとされる。

 この事件は石井みどり(自民・2期)参議院議員の後援会に、迂回献金で法定上限を超える献金を行ったものだ。この事件により、日歯連は前回の参議院選挙で組織内候補をだすことができなかったのだが、選挙直前になって不可解にも(おそらく官邸の支持により)歯科医師とは何の関係もない、山田宏(自民・参1、衆2・細田派)氏に推薦を出して担ぐことになった。結果、山田宏候補は14万票超を獲得し、晴れて当選を果たした。

日歯連としては、有罪といえど判決がでたことで、ある種の決着がつき、次回の参議院では推薦をだして組織内候補で戦うことができるだろう。

来年改選の自民党参議院議員は、ただでさえ改選が多いことに加えて、合区で選挙区からあぶれた候補が比例に回ることで団体の取り合いが激しいと噂されている。まとまった票をもつ日歯連の動向も要注目だ。

細野豪志 選挙期間中に5000万円を受け取る

朝日新聞の1面トップ、スクープで細野豪志(無所属・当選7回、静岡5区衆議院議員が2018年10月の衆院選中に5000万円を証券会社から受け取ったことを報じられた。

受け取った後、本来であればこの収支は報告しなければならないが、発覚してから「借り入れ」(つまり寄附などの収入ではない)として届け出たとのことで、すでに利子をつけて返却したということだ。

発覚後になって「いや、じつはこれは個人的に借りたものでして・・・・・・」というのは猪瀬直樹都知事徳洲会から5000万円)、渡辺喜美衆議院議員(DHCから8億円)と全く同じだが、選挙期間中というのは両名と異なる。なお、猪瀬直樹氏は略式起訴、渡辺喜美氏は不起訴で終わっている。

過去の両名らを含め、これまでのこの手の事件のポイントとしては「選挙で使った形跡があるかどうか」、「利子を払っていたかどうか」、「すでに返済されているかどうか」の3つで、猪瀬、渡辺両氏は選挙で使った形跡はなし、返済もされているということでかろうじて逃れている。

選挙で使ったことになると、これはただの個人的な借り入れの範疇(政治資金規正法)を超えて、選挙のルールである公職選挙法にも引っかかるからだ。その意味で言うと選挙期間中に受け取っているのはかなり痛い。だれがどう見ても陣中見舞いだから。

女で失敗している細野豪志、カネで失敗しても、これまでの人気を保てるのだろうか。今後の経過も見ていきたい。

 

(参考)
細野豪志氏、衆院選中に5千万円受け取り 証券会社から:朝日新聞デジタル